勝利だけではない?スポーツ指導者の本来の役割とはどんなもの?

スポーツを指導していると、「選手の能力が伸びない」「選手のモチベーションが低く、あまり意欲が感じられない」
といった悩みが生じることも少なくないでしょう。チームを良くするために日々試行錯誤しているけどなかなか成果に現われないといった場合、その目的が「勝利すること」に重きが置かれすぎている可能性があります。

勝つことの喜びを教えてあげたいという指導者の思いは最もですが、その前に一度チームの見方を変えてみるのも良いかもしれません。この記事では、スポーツ指導者の役割について詳しく解説していきます。

スポーツを指導する者に求められる3つのこと

スポーツを指導するにあたって技術を教えるのももちろん必要なことですが、その他にも重要なポイントがあります。

幅広い視野、目的思考、未来志向

例えば、良い指導者というのは広い視野を持ち合わせています。具体的には、試合中に選手がミスをした時に選手の心の内やこれまでの経験からヒントを得ようとしたり、目的や未来に目を向けることができるなどです。

しかし、試合会場で「〇〇だからこうなったのだ」「どうして〇〇したんだ」と選手が叱責されている場面を見かけることがあります。こういった叱責をする指導者は、過去、原因に意識が向いてしまい、指導のつもりが選手を責める形になってしまうということがあります。

このように過去・原因思考の関わりは、選手もこれからどうしたらいいか具体的な行動や対策がわからないばかりか、モチベーションも下がってしまいます。したがって指導者はもっと広い視野をもって、その時のプレーにだけ焦点をあてるのではなく、目的思考・未来思考で選手に関われると良いといえます。

指導者自らに問題がないかを適宜考える

モチベーションの低い選手の指導者にありがちなのが、うまく行かない原因はすべて選手側にあると思い込んでいる場合です。そのような態度では選手は理不尽さを感じますし、委縮し信頼関係も築くことができません。

良い指導者は、上手くいかなかった場合にその原因は本人以外のところにもにあるのではないかという視点を常に持っています。人は目標が達成できない時、ついつい周りや環境のせいにしてしまいがちです。しかしスポーツにおいて指導者がそのように考えてしまうと、指導者と選手、さらに選手同士の関係を悪化させることに繋がります。

適宜適切な声かけを心がける

指導者の一言によって選手は一喜一憂します。指導者の言葉かけは、他の誰が行う声かけよりも影響力があります。

よく見られる指導の方法にアメとムチを使うというのがありますが、これは比較的早期に結果に反映されやすく、勝利だけを目的に考えると良い指導法と思われるかもしれません。しかしそのような方法では即自的な効果は得られても、長期的には続きづらいといえます。それは選手自身が自主性を持たず、自分で考えるということを行っていないからです。うまくいかなかった場合にどのように対処したらいいかわからず、再びモチベーションの低下に繋がってしまう可能性があります。

したがって指導者は「どうしたらうまくいくと思う?」などと選手に声かけを行うことで、選手は自ら原因や解決策を模索し始めます。普段から自分で考える前に指導者から叱責されたり原因を突きつけられたりしていると、自分で考えるという癖がつかなくなり、その結果試合中にミスをしてもどうしたら良いのかわからず、またミスを繰り返すという負のスパイラルに陥ってしまいます。指導者が選手自ら考えられる機会を与えるよう声かけを行うことで、選手自身の考える力を最大限に引き出せるでしょう。

さらに、練習や試合の後で行われるミーティングでも注意が必要です。特に注意などをする際には、個別で呼び出して伝える方が良い場合があります。個別で注意することによって怒られているというより、むしろ自分のために指導をしてくれているという認識になりやすく、また指導者の意図も伝わりやすくなります。

コーチングスキルを身に着けることで選手の能力を引き出せる指導者になれる

指導者がコーチング的コミュニケーションのスキルを身につけることによって、選手のモチベーションを高めやすく、選手の能力やチーム力を上げることに繋がります。「選手の意欲を向上させたい」、「チーム力を高めたい」などの悩みを持った指導者にぜひ身につけていただくことをおすすめしたいのが、コーチング的コミュニケーションのスキルです。

選手に指導(ティーチング)するというよりも、選手の能力を引き出す手伝いをするという関わりであるコーチング法は、選手のモチベーションを維持しやすく主体性のある選手育成へと繋がります。また選手自身が自分で考えて行動するようになるので、チームの中でもシナジーが生まれチーム力の最大化へと繋がります。

まとめ

スポーツの指導を行っていると、どうしても勝利にこだわってしまいがちです。もちろんスポーツの世界では勝つことも重要であり、選手もそこに大きな価値を感じているでしょう。しかし勝利にばかり意識がいくと選手個人と向き合うことにおろそかになり、過去・原因思考になり、その結果選手の意欲が下がり、成果を上げることができなくなってしまいます。
勝利に繋げるためにも、まずは未来・目的思考で物事を捉え、視野を広く持ち、指導者がコーチング的コミュニケーションのスキルを習得することによってチームが変わり、チームの目標達成へと繋げることができるでしょう。

「ENnection」では指導者や保護者の方向けにコーチングやコミュニケーションスキルの勉強会も行っております。チームの力が伸び悩んでいるという方は、一度「ENnection」にお気軽にご相談ください。

ページ上部へ